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患者さんが炭水化物量を意識することで治療は大幅に進歩します

私は決して糖質制限論者ではありません。適正糖質論者です。

朝のインスリンの試みが上手くいった際には、患者さんが希望する場合には昼食夕食で応用するといいでしょう。食事を工夫してインスリン注射を減らすか、インスリン注射をそのまま頻回に続けるか否かは患者さん次第です。ちょっとした食事の工夫で投薬量を減らすことは難しいとではありません。でも頑張り過ぎないことです。長丁場なのですから。いつでも軌道修正は可能です。しかしこれだけは言っておきます。できる限り早期に良好なコントロールすることが大事です。糖尿病の治療成績を語る際にレガシー効果という言葉があります。糖尿病の早い段階できちんと治療を行っておくと後になってからでもその恩恵を受ける事がわかっています。逆に後手に回ると尾を引いてきます。思い立ったら吉日です。

私は食品80キロカロリーガイドブックとMSD社の栄養成分チェックハンドブックを参考にして、各食材中の炭水化物量を気にかけながら摂取するように糖尿病患者さんに指導しています。特に一回の食事の際は合計の炭水化物量がwtGL60g以上にならないように薦めています。これは上記のテストミール食の結果に基づいています。糖尿病のコントロールが上手くいかない人には、個人的には一食中の炭水化物量をwtGL50g~60gの以下に抑えると良いと考えています。
それでも血糖が高すぎるようであれば、投薬治療を考えます。また間食の際にはwtGL25g以内の炭水化物摂取なら問題ないと個人的には考えています。食後血糖変動の傾向を参考にすると出来れば間食やきちんとした食事の間隔は3時間以上空けることが理想的であると思います。たんぱく質や脂質に関しては特に制限を設けていません。炭水化物を控えるとその分たんぱく質や脂質が過剰になるとよく言われる人がいますが、そんなに動物実験のように脂質のみ、またはたんぱく質のみ大量に取ることは常識をわきまえた糖尿病患者さんでは考える必要はないと思います。

余裕のある方には炭水化物を取りすぎたと判断した際には自分で食後1~2時間後の尿糖をチェックすることもすすめています。この時点の尿糖がマイナスであればそれは理想的な血糖コントロールになっている筈です。尿検査なら採血の痛みはありませんし自分のペースで調べられます。ただし最近処方が増えつつあるSGL2阻害剤を服用中の方はその薬理作用の特徴を考えると例外です。

註 )食品80キロカロリーガイドブック

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出展:「食品80キロカロリーガイドブック」女子栄養大学出版部 2011(編集者 香川芳子)


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