75gブドウ糖負試験について
テストミール食について
糖尿病の診断は75gのブドウ糖負荷試験でつけることが古典的な基本です。この検査は75gブドウ糖を水に溶かした液体を飲用したときの血糖変動パターンにより、糖尿病型、境界型糖尿病型それと正常型に分けます。しかし、一方では固形の75g炭水化物に1食分に相当する適量のたんぱく質および脂質の固形成分を加えたテストミール食をもちいて糖尿病の診断を行う試みもあります。テストミール食にはたんぱく質や脂肪が標準量含まれているにも関わらず、75gブドウ糖摂取における血糖変動とほぼ同様な傾向を示すことが報告されています。これをもってしても血糖変動には脂質、たんぱく質はあまり影響がなく殆ど炭水化物で決まることがお分かりかと思います。
しかしこの二つの糖負荷試験の血糖変動を比較して見ると三つのことに気がつきませんか?
1)液体のブドウ糖単独負荷に対して固形であるテストミール負荷には炭水化物単品でなく3大栄養素
が同時期に摂取されています。それにも関わらずそれらの摂取後の過血糖のピークが液体ブドウ糖
単独負荷より早く出現する傾向にあることです。
これは固形物摂取の際の咀嚼によりインクレチンが早期に反応したのかもしれません。
2)血糖変動のピーク値を見ると75gブドウ糖負荷試験の方が75g炭水化物含有テストミール食よりも高い傾向にあることです。 75g炭水化物含有テストミールに用いた炭水化物はGI値80くらいで考えみるとwtGL値=75g×80÷100=60gブドウ糖に概ね相当すると考えられます。つまり、wtGL値の差だと考えられます。テストミールの結果からすると、恐らくブドウ糖換算量60gあたりから糖尿病の方の血糖変動に有意に影響がで始めると考えられます。
3)カロリーで言うと75gブドウ糖は300キロカロリーです。一方75g炭水化物含有テストミール食はたんぱく質、脂質が加えられており、約500キロカロリーとなります。これら両方の負荷試験から炭水化物の質と量が血糖変動に関与しており総カロリーの問題ではないことがお分かりいただける筈です。
テストミールのデータを実際の食事のデータとして解釈するにはいくつかの問題点があります。それは食物繊維量や料理方法さらには食事に要した時間などが血糖変動に影響することは想像に難くないからです。後でも述べますが、特に糖尿病の方は、単純に炭水化物の摂取量は、ブドウ糖換算量として25g、 50g、60g、75gという数字を気にかけるようにして下さい。
トップへ -> 糖尿病について -> 75gブドウ糖負試験について