リブレ(自動血糖測定器)の上手な利用法について(2022年10月13日)
~糖尿病治療は血糖変動を意識すべし~
理想的な糖尿病のコントロールは血糖変動の落差をできる限り縮める事が重要です。にも関わらず現実的には血糖変動の平均値を表すHbA1c値を低下させることがあたかも最終ゴールになっている傾向があります。実際の血糖値の変動を見るために一日のうち何回も採血の苦痛を経験したくないという現実の壁がありました。そこに持続的血糖変動を評価するリブレが登場してきました。
~リブレ使用目的の現状について思うこと~
現在リブレはインスリン注射やGLP-1受容体作動薬注射治療を行なっている方のみに保険適応があります。しかし糖尿病が心配な方や糖尿病と診断されているにもかかわらず、糖尿病治療の根幹である食事療法や運動療法と血糖変動との関連ついて主治医からの説明がない場合や解らない 場合には保険外でも私はリブレをオススメします。
ここでリブレについて簡単に説明します。詳しくはネットで調べるか近くの医療機関で相談して下さい。
~リブレ使用の実際~
装着は簡単で、一度装着すると2週間の血糖変動が自動モニターされます。iPhoneとうまく連動させると随時血糖値として読み取ることが出来ます。採血に伴う痛みはありません。例え保険が効かなくても高価ではありません。ネットでも自由に購入できますが、万が一の故障や不良品が心配な方は、近くの医療機関を通して購入するといいでしょう。
装着時においての日常生活への制限はありません。お風呂も入れますし、ゴルフも出来ます。ただし暑いサウナは避けた方がいいでしょう。
i)問題点
リブレで測定しているのは間質液であり、厳密に言えば血液ではありません。そのため食後の真の血糖上昇よりも15分近く遅れてリブレ値(ここでは血糖値とも表現しています)が上昇するようです。このタイムラグがある事と直接の血糖測定値と比べて正確性にやや難があるようです。もし病院にかかられてる方なら実際の血液中の血糖値やHbA1cなどを測定してもらうことによって軌道修正をして下さい。
ii)利点
どの食品を摂ると血糖値が急上昇する傾向があるかまたは食前または食後の種々の運動と血糖変動の関係をざっくりとみる為には便利です。日常動作や種々のスポーツジムさらには、水泳、ゴルフなどなどの諸動作との関係も分かります。その事は大変興味ある事です。
当然の事ながら同じ食事内容でも各人での血糖変動のピーク値はみなさん異なります。
それは各人それぞれインスリン分泌能が異なるからです。
もう少し詳しく説明しましょう。
~リブレの血糖変動とwtGL(ブドウ糖換算量)との相関の可能性について~
リブレ測定をすることで、血糖変動に影響を与えるのは摂取カロリーではなく、食事に含まれるwtGLだということが自明のこととなるでしょう。
ちょっと説明しますと炭水化物=糖質+食物繊維です。炭水化物と糖質の区別をしていない記事が散見されますが、そこは黙認しても、糖質を一括りにする事は良くありません。
糖質は最小単位として1)ブドウ糖(グルコース) 2)果糖(フルクトース) 3)ガラクトース(牛乳やプレーンヨーグルトなどの乳製品に含まれる)の3つの単糖に分けられます。中でもブドウ糖と果糖の2つが糖尿病に大いに影響します。ここでは詳しくは述べませんが、血糖値=血中ブドウ糖濃度であり、果糖濃度はではありません。果物にはその種類によって一定の割合でブドウ糖と果糖を含んでいます。果糖はブドウ糖よりもむしろ体内で中性脂肪へ変換されやすく、過剰摂取を続けると内臓脂肪をふやしてしまい、難しい言葉で言うと、インスリン抵抗性を増し、血糖値に悪影響してしまいます。ブドウ糖は直接血糖値に影響し、果糖は間接的に影響すると表現してもいいと思います。
〜炭水化物、タンパク質、脂質の代謝について〜
摂取カロリーは食後血糖値に直接影響しないのは明らかですが、いまだにカロリーの呪縛がとれていない人も多いと思いますので、少し説明を加えましょう。三大栄養素として、炭水化物、タンパク質、脂質があるのはご存知のこととして説明します。炭水化物については説明済みですが、タンパク質について説明すると、タンパク質は体内に入って各種アミノ酸となり代謝吸収されます。脂質もグリセロール、脂肪酸となり代謝吸収されます。
上記したごとく血糖値=ブドウ糖であり、アミノ酸や脂質の代謝産物を測定してるわけではありません。
〜炭水化物食品単独よりも、タンパク質や脂質を同時摂取した方が、カロリーが増えても 血糖値はさがります。〜
ブドウ糖摂取するとインスリン分泌すると言うことはほぼ皆んなの常識となっていると思いますが、アミノ酸もインスリン分泌すると言う事実への気づきがあれば、理解できるます。糖尿病の心配な方はむしろおかずを増やして下さい。ただし芋類は避けて下さい。
蘊蓄ついでに付け加えるとアミノ酸はインスリン分泌ばかりか、血糖値を上げるグルカゴン分泌作用があるとの報告はありますが、それはあくまでネズミなどにおける特殊条件下の動物実際の話であり、現実的な人においての通常食の場合はインスリンの作用がグルカゴン作用を凌駕して、結果的に血糖値低下の方向にいくようです。
具体的には
〜牛丼と白米だけの比較、寿司盛り合わせと白米だけの比較、さらには餃子と餃子の皮だけの比較など。〜
~リブレを使って運動との関連も探る~
さてリブレの話に戻りますが、患者さん自身が主治医になって実際に色んな食事の影響をリブレを利用して試すといいと思います。またレジスタンス運動や有酸素運動との血糖値の関係もリブレを使うとわかると思います。論より証拠です。今糖尿病薬の進歩はめざましいものがありますが、糖尿病治療の主役は食事の内容や運動です。
サルコペニーなど筋肉の低下を防ぐには運動、とくにレジスタンス運動が大事です。それとタンパク質が大事です。煩雑さを避けるために今回は詳細は省きますが、厳しい糖質制限を続けているといくら筋肉の材料となるタンパク質を取っても、筋肉はつきにくくなります。なぜなら、適正なブドウ糖量が筋肉内に取り込まれてこそ、タンパク質がうまく筋肉内でとりこまれるのです。大事な食事や運動を蔑ろにして、薬だけに頼っていると、できれば避けたいインスリン注射を続けることになるかも知れません。尤も1型糖尿病でない限り、例えいっときインスリン注射のお世話になっても、適正なwtGL、(ブドウ糖換算量)を守れば、インスリン注射を中断することも可能です。
色々みなさん自身でリブレを利用したり、 少し余裕のある方はネットなどを利用してwtGLを求める為に試行錯誤してください。
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